自分の個性をもとに、お客さんのリクエストを形にするため、何よりもまず研究や練習は美容師には欠かせません。一人前の美容師になるためにどんな内容でどのくらいの練習をする必要があるのか、しっかりと知っておきましょう。
どれだけ練習すれば一人前?
「一人前の美容師」とは、どんな美容師だと想いますか?
例えば、お客さんが最初に同じイメージを複数の美容師に言ったとして、仮に「ショートカットで」とリクエストしたとしても、仕上がりは美容師ごとに異なってくるのが、このお仕事の興味深いところです。
お客さん自身のイメージ通りの髪型や、お客さんの個性や長所を引き出す髪型を実現できるのが、一人前の美容師だと言えます。そのためには、さまざまなヘアスタイルに関する技術や知識を美容師自身の中に蓄積することが必要です。
しかも、その技術・知識は流行によって刻々と移り変わるため、常に研究や勉強を続けなくてはなりません。でも、そもそもの基礎的な技術や知識をおざなりにしては、その後の美容師人生の中で研究などを的確にこなすことが出来なくなってしまいます。
また、スタイリング剤など、美容師として取り扱うことになるさまざまなアイテムの新商品も途切れずに発表され続けています。それらをお客さんそれぞれの髪質に合わせて使い分けることが出来るよう、幅広く深い商品知識も必要です。どのアイテムに対して何を軸にして商品知識を取り入れたら良いのか、コツも修得したいものです。
まずは基礎をがっちりと固めること。それが一人前の美容師としての第一歩です。
では、美容師として一人前に近づくには、どのように日々を過ごせば良いのでしょうか。
美容師としてのあらゆる作業を体に染み込ませる練習
初心者マークの美容師に必要なのは、一に練習、二に練習だと言われることがほとんど。
研究熱心な美容師こそ、この練習の一つ一つを意義のあるものにしたいと思うことでしょう。もちろんその意識は非常に大切です。しかし、その意識だけではまだ不十分だということも併せて覚えておきたいところです。意義のある練習をしたいから、ゆっくり丁寧に、時間を掛けるというのは、実はあまり勧められていないのです。
クオリティの高い練習をじっくりこなすか、とにかく練習を重ねに重ねるか。一人前を目指す美容師の卵にとって、練習として有意義なのは、後者だとされています。というのも、美容師として働くにあたって、こなす必要のある作業は多岐にわたっています。修行中であれば、先輩美容師からの指導によってさまざまな作業を覚えることになりますが、これを実践の場、つまりお客さんの髪を前にして行う場合にその作業を手間取らずにこなせなくてはなりません。
例えば、新米美容師が任せられることの多いシャンプーひとつ取っても、技術職としてのクオリティとテンポの良さ、的確さなどが求められます。ありとあらゆる作業を、ひとつひとつ体で覚えられるようにするためには、反復練習が何よりの効率をもたらすわけです。
多様な髪質を知るのは基本中の基本
最初こそ人形のカットウィッグでのカット練習から始まるものの、美容師として「自分らしさ」を出すには、それ以前の段階として、多様な髪質を知る必要もあります。
毛量の多い人もいれば、少なめの人もいます。それに併せて、癖っ毛・猫っ毛や、地毛の色合いなど、髪質の多様さは、沢山カットモデル・カラーモデルやパーマモデルを前にして、それぞれにどのような扱い方をしたら良いのか、とにかく量をこなして覚えるわけです。
地道な練習の回数を重ね、余暇の時間を使ってでも練習に明け暮れることで、一人前の美容師としての技術を会得し始めることが出来るようになるのです。
お店によっては、カットモデルなどは新米美容師が自ら調達するところから始めることもあります。実際にお客さんを担当するにあたって、コミュニケーションも求められるのが一人前の美容師のお仕事。お客さんのイメージするヘアスタイルを知るのにも、最初のコミュニケーションがあってこそです。その修行の一環として、カットモデルをしてくれる人探しも大切な練習となるわけなのです。
売上を挙げることの出来る美容師へ
真の一人前の美容師とは、お店の売上に大きく貢献できる美容師…今はまだまだ新米だとしても、そういった美容師のランクに到達したいという人も多いことでしょう。
そのランクにたどり着くためには、まず、先輩美容師で大きく売上げている人は、どのような仕事ぶりでそこに到達出来ているのか、観察してみましょう。必ず自分とは違うポイントがあるはずですので、しっかりチェックして研究し、自分の美容師としての仕事に取り入れていきます。
また、適宜開催されているカットやパーマの講習会も要チェック。意欲さえあれば、コンテストで自分の可能性に挑戦することも、自分の将来の姿、つまり一人前の美容師になるために大きく役立つと言えます。
大きく売上を挙げることができ、20代のうちに独立して自分のお店を持って活躍する美容師もいます。どんな一人前の美容師も、新人の頃は、一歩一歩無我夢中で練習に取り組んでいく日々を経てきているのです。